カレーライスの話

今日はどこに行こうか?いくつかの街が思い浮かぶ。

たまには美味しいカレーでも食べに出かけよう。そう決めると、夏バテで重くなっていた腰も軽くなった。

財布とタバコ、読みかけの本をポケットに突っ込み、神保町に向かう。本をペラペラとめくると、お腹がぐうぐうと鳴る。神保町ならキッチン南海だろう。気持ちが高鳴る。

店は今日も人が並んでいた。一番後ろに付き、本を開く。店内に入り、「カレー」と言うと、おばちゃんが軽い相槌を打ち、奥へと消えた。

水と同時にカレーが机に置かれる。スプーンを手に取り、大きい一口を頬張る。うまい。

スプーン一つとルーとライス。究極にシンプルな食べ物だ。カレーは気軽に腹いっぱいになるのも、おいしい。

スプーンを口に運べば運ぶほど額から汗が吹き出る。夏だからじゃない。汗が美味しさのバロメーターになっているんだ。そんなことを考えながら、汗を垂らしながらカレーを夢中で頬張る自分が少し笑えた。